柔道の受身(前受身、後受身、横受身、前方回転受身)を身につけていれば、急に転んだり倒れたりしても自然と受身を取ることができ、ケガを予防できる身のこなしができるようになります。
転んでもケガをしない身のこなし方=受身は一生モノの能力です。
また、柔道の練習では相手と組み合ったり、お互いに技をかけあったりしますが、そういった練習を通じて、「どのようにしたら相手を投げられるか」ということを考えることはもちろん、同時に「どのようにしたら投げられないか」ということも考えるようになり、練習を通して自分の身体を守る力をつけることができます。
心と身体はつながっています。相手に技をかけたり、かけられたり、ケガをしないように受身の練習をすることで、どんどん身体が丈夫になっていくことがわかります。
もっと練習をしていくと、今までできなかったことができるようになり、あこがれの先輩と一緒に練習ができるようになります。そうなると、ますます柔道が楽しくなっていくでしょう。もちろん柔道ではきつい練習もあります。
それらから逃げないで、がんばることで身体の成長だけではなく、心の成長にもつながるのです。
柔道をはじめたばかりの人にはやさしく、ライバルや自分より強い人には全力で、たとえ相手がどんな人であってもケガをさせないように思いやりを持ちながら柔道をする。これは、自分の心をコントロールしないとできません。
どんな時でも、自分の心をコントロールできるようになることは、柔道だけでなくふだんの生活の中でも大きな力となり、自信となります。
柔道は一対一で相手と組みあっておこないます。
柔道を安全におこなうためには、ルールを守ることが大切です。ルールを守るということは、おたがいがケガをしないため、勝っても負けても気持ちよく柔道をするために必要です。
つまりルールを守るということは、相手を思いやるということなのです。おたがいに相手を思いやる気持ちを持っていると、相手との絆が生まれます。そして生まれた絆は、毎日の練習や試合をくり返すことでどんどん深くなっていきます。
さらに、ほかの道場やチームと練習、試合をすれば、さまざまな人たちとの出会いがあり、そこに絆が生まれます。
柔道は世界中でおこなわれています。たくさんの人たちと出会い、絆を深めましょう。
「礼にはじまり、礼に終わる」といわれる柔道は、「礼」を大切にしています。しっかり「礼」をすることで、いろいろなことが身につきます。
相手と一対一で組みあう柔道は、身体をきたえ、技をおぼえることと同じように、心をコントロールすることが必要となります。
柔道は相手がいないとできません。相手のことを大切に思い、「ありがとう」の気持ちで、勝っても負けても丁寧に「礼」をします。
また、道場に入るときは「柔道ができることへの感謝」や「ケガをしないように」などの気持ちをこめて「礼」をします。
このように気持ちをこめた「礼」をくり返しおこなうことで、自分の心をコントロールすることができるようになるのです。
そうすれば、いつも相手のことを考えることができるようになり、いつでも、どこでも、だれにでも礼儀正しくなれます。
柔道は、立技や寝技など、まさに体全体を使った全身運動のスポーツです。
立技では、相手と組み合ったり相手のバランスをくずすための腕の力や、一瞬で技に入る瞬発力が必要になります。
寝技では、相手をコントロールするために立技とはまたちがう力が必要です。
そういった練習をくりかえすことで自然と全身の筋肉がきたえられます。
また、「力=パワー」だけでなく柔軟性も身につきます。基礎運動の1つ、回転運動(前回転、後回転、側転、倒立前転など)ではバランス感覚も身につきます。身体が強くなる以外にも、くりかえし練習を行うことで忍耐力も身につきます。
柔道の練習で身につけたことは普段の生活にもとても役に立ちます。